
ちょっと騒がれていたのでご存知の方も多いと思いますが、日本の小学校では2020年からプログラミングが必修科目になります。
子供向けの「プログラミング講座」も少しずつ増えており、実際に通ったり体験したりしている子もいます。
今から子供にプログラミングを習わせる必要があるのかどうか、悩む親も今後は増えて来ますよね。
プログラミング必修化の背景や、プログラミングを学ぶメリットについて書きます。
目次
なぜプログラミングが必修科目となるのか
そう、そもそもはそこですよね。
なんなんだと。
今うちの子はサッカー選手になりたいって言ってんのに、余計な科目増やすんじゃねえよっ、なんて思う人もいるんじゃないでしょうか。
小学校でプログラミングを必修科目にする一番の目的。
それ、実はプログラマーを育てるためではないんです。
確かに、小学生のうちからプログラミングに親しませておけば、プログラマーを目指す子供が増えますよね。
今後はIT業界の人材不足がどんどん深刻になると言われていますので、国が対策に追われていることも確かです。
経済産業省が2016年6月に公開した情報によると、IT産業が必要とする人材が、2030年には約79万人が不足すると予測されています。
出典:経済産業省(平成28年6月10日)
でも違うんですね。
一番の目的は、21世紀型のスキルを身に付けさせるためなんですって。
21世紀型のスキルとは?
そう、「21世紀型のスキル」というのがあるんです。
21世紀はもう17年目ですけど、まだあと80年以上ありますから、許してあげてくださいこの呼び方。
具体的には、
「目の前の難題に対し、試行錯誤を繰り返して問題を解決する能力」
なんだそうです。
で、このスキルを磨くために必要な要素というのが以下の3つ。
- 問題をみずから設定して解決する
- プロジェクトを自分で設計する
- 周りの人とコミュニケーションを取りながらアイデアを伝えあったりする
この3つを鍛えることで、問題を問題としてとらえ、解決のための道筋を立て、周りの人と協力しながら解決していく、と。
これが、今後ますます必要とされるスキルなんですって。
そしてこれらのスキルを身に付けるためには、プログラミングの作業を通じて学ぶのが最適なのだとか。
ということで、プログラミングは小学校で必須科目になります。
ホント?
「目の前の難題に対し、試行錯誤を繰り返して問題を解決する能力」
ん?
いやいや、そんなの21世紀だろうが15世紀だろうが必要じゃんか。
だってそうでしょ?
人間生きてれば毎日難問だらけで、試行錯誤を繰り返してるじゃないですか?
と、思ったのですが、
確かにそういうスキルを磨くことなんて、今までやったことないですね。誰にも教わったことがありません。子供の頃も大人になってからも。
なるほど、そんな教育を子供の頃から受けていたら、もうちょっと人生変わってたかも。
そう考えれば、たしかに今までの学校教育にはこうした「生きる力」みたいなのって抜けていた気がします。
いい先生に当たればそれなりに教えてもらえたのかもしれないけど、そんなのマレですからね。
プログラミング教育のメリットとは?
なぜプログラミングがこうした「21世紀型のスキル」を身に付けるのに最適なのか?
それはプログラミングという作業の持つ特性が大きく関わってきます。
問題を自ら設定して解決する
プログラミングの特性の一つに、
「これじゃないかな?」と思って試したことの、結果を得るまでのスピードが早い
というのがあります。
例えば、猫の絵が思い通りに動かなかったら、すぐにどこが問題なのかを調べて修正し、その結果を確認することができます。
目標に向けて作業し、出てきた問題に対して解決策を考え、それを実行する。
PDCA(Plan Do Check Action)ってやつですね。
こうした「目の前の難問」に対する試行錯誤がやりやすく、結果をすぐに確認できるという特性があるので、「試行錯誤の習慣」が身につくというわけです。
プロジェクトを自分で設計する
ある程度自分でプログラミングを学んだり、人が作った作品を見たりすることで、もっともっといろいろなことができる、ということを知るようになります。
すると子供は「次はこうしたい」「もっと楽しい作品を作りたい」と思うようになり、よりレベルの高い作品を作るようになります。
そうしてレベルアップして行くことで、自分でプロジェクトを設計し、プログラミングに夢中になっていくわけですね。
想像力が広がって、夢中で作品作りをするところはレゴにも似ています。
ただし、レゴは形を作るところまでで、動かすことはできません。
一方プログラミングでは、絵を動かしり、レゴで組み立てた作品を動かしたりすることもできます。
作れるモノの可能性が多い分だけ、プロジェクトの設計が重要になってきます。
自分のイメージした作品を作るためにはどうすればよいかを考える。
つまり「自分プロジェクト」を設計する習慣が身につくわけです。
周りの人とコミュニケーションを取りながらアイデアを伝えあったりする
子供向けのプログラミングツール「Scratch」では、楽しみ方の一つに、「他の人の作品を見る」というのがあります。
ScratchのWebサイトでは、世界中の子供が作品を公開していて、それぞれのプログラミングの内容を見ることができます。
アイデアの共有ができるわけですね。
他の人は何を使ってるんだろう?
参考になりそうな作品はないかな?
ワクワクしながら「誰かの作品」で遊べるわけです。
これが学校の授業で行われれば、きっと皆でアイデアを出し合ったり、グループ毎に協力し合って作品を作るようになります。
プログラミングは、コミュニケーション能力を養うことにも向いてるんですね。
プログラマーを目指すべきなのか?
プログラミングを学ぶことで、子供は自己表現の手段を一つ増やすことができます。
逆に言えば、言葉や絵画、楽器などと同じように、プログラミングは表現手段の一つに過ぎません。
言葉を学んだからといって誰もが作家を目指すわけではないし、ピアノを習った人の多くがピアノに関する仕事に就くとは限りませんよね。
だから、プログラミングを学んだ後にプログラマーを目指すかどうかは、本人や親の好みなんだと思います。
プログラミングを通して養った「目の前の難題に対し、試行錯誤を繰り返して問題を解決する能力」があれば、どんな職業に就いてもきっとうまくやっていけるはずです。
プログラミングを学ぶことで、逆にプログラマー以外の職業選択の幅が広がることになりますね。
ちゃんとやらないと意味がない
こうやって書いてきましたが、あくまでもプログラミング教育の可能性を記したに過ぎません。
例えば英語を学んでも、ちゃんとやらないと身につきませんよね。
プログラミングもそれと同じで、ちゃんとやらないと遊ぶだけで終わってしまいます。
最初はネットの情報や本を買ったり借りたりして遊ぶだけでよいと思います。
でも、プログラミングを通して「21世紀型のスキルを身につける」のであれば、きちんと継続してプログラミングを学習することが重要になってきます。
小学校での必須科目化の一番の課題はそこでしょうね。
子供向けのプログラミングツール「Scratch」の始め方や、きちんと学ぶための教材の紹介などをまとめてあります。併せてどうぞ!
まとめ
プログラミングを学ぶ=プログラマーになる、というわけではないということをご理解いただけたでしょうか?
プログラミングの必修化には、プログラマーになるきっかけを増やそうという意向があることは確かですが、一番の目的は人間としての「生きていく力」を磨くことなんですね。
やってみて損はありません。ぜひお子様にScratchを触らせてみてください。
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