もし私が名物社長であったり、何か大きな受賞歴のある有名な作家や音楽家などの文化人だったら、中学校とかから講演の依頼なんかが来ると思うんです。
そういう人が語る人生訓って、何か説得力あるじゃないですか?
というか、そういう成功者じゃないと、話をしても説得力を持たないですよね。人生訓は「生き方の教え」な訳ですから。
思えばスティーブ・ジョブズもスタンフォード大学の卒業式に招かれてスピーチしていましたね。あんな感じです。
一介のサラリーマンである私には講演の依頼など来るはずもない訳ですが、卒業式で話してみたいことがあるので勝手にこのブログに書きます。実際に話したら8分くらいでした。
ご挨拶
みなさんこんにちは。本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。
今日は人生の大きな節目となる日ですね。
このような大切な日に、皆様にお話をする場を設けていただいたことに大変感謝しております。
また、次の世代を担う素晴らしい人材の門出を祝えることは、大変光栄なことでございます。
まずは卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。
そして卒業生のご父兄の皆様、今日という日まで、毎日大変なご苦労をされてきたかと思います。本日卒業式を迎えられましたことを心よりお祝いいたします。おめでとうございます。
そして先生方、おめでとうございます。
一番大変だったのは先生方だと思います。しかし先生方のご尽力のおかげで、生徒の皆さんはこうして立派に卒業式を迎えることができたのだと思います。お疲れ様でした。4月から始まる新しい戦いに向け、英気を養ってもらえればと思います。
今日、私が15歳の皆さんにお話ししたいのは、私が15歳の時に知りたかったことです。
40も過ぎた今教わっても仕方がない、もっと早く知りたかったよ!というお話をさせていただきます。
大人はたくさん持っている3つのモノ
15歳の皆さんはあまり持っていないけど、私達大人はたくさん持っているモノが3つあります。
何だかわかりますか?
1つ目は「経験」です。
当たり前のことですが、大人は子供よりも長く生きているので、様々な経験をしています。そしてその経験を活かしながら、物事の判断をしながら生きています。
経験はお金では買えません。例えば、月へ行った人の経験を、自分のモノにすることはできませんよね。
だから自分の経験は、自分にしか持つことができない財産なんです。
大人はこの財産をたくさん持っています。
色々な経験を持っていると、何か新しいことを始める時や、難題を解決するときなどに役立ちます。
それはつまり、人生において失敗する回数を減らしたり、より効率よく成功に辿り着きたいときに役立ちます。
2つ目は「知識」です。
大人は様々な経験をしているので、子供よりも豊富な知識を持っています。
知識は、多く持っていればいいかと言えばそういう訳でもなくて、その人にとって必要な知識を持っているかどうかが重要になってきます。
だから、まずは自分が生きていく上で必要な知識を身に付けることが大事です。
そして、自分にとって必要ではないことでも、少しでも興味を持ったらどんどん知識を身に付けることも重要です。
なぜならそうすることで、自分の住む世界が広がるからです。
自分の住む世界が広がると、新しい出会いや発見があります。余計な知識というのは、人生が楽しくなるきっかけになるわけです。
だから人生を楽しんでいる大人には、様々な知識を持っている人が多いものです。
そして3つ目は「責任」です。
ほとんどの大人は、いくつかの責任を常に持ち続けています。
「責任」というのは、「役割を果たす」ということです。
人は働いたり遊んだり学んだりしながら生きていくものですが、常にナニモノかであるわけです。社会のなかで生きていく上で、必ず何かの役に就きます。
親、店長、友達、飼育係、買い物係、掃除当番、運転手などなど。
その役を引き受けた瞬間から、その役が持つ、役割を果たす義務が生じます。
それを「責任」と呼びます。
大人はたくさんの役に就いているので、たくさんの責任を持って生きています。
子供がたくさん持っているモノ
次に、15歳の皆さんはたくさん持っているけど、私達大人はあまり持っていないモノについてお話します。
何だかわかりますか?
それは「時間」です。
私たち大人は、長い時間をかけて知識と経験を身に付け、今は責任ある色々な役に就いています。しかしもう、使える時間はあまり多くはありません。
死ぬまでにはまだまだ時間がありますが、すでに人生の結果はある程度決まってしまっています。
人生を大きく変えるような知識や経験を身に付けるための時間はありません。私たち大人は、今が将来なんです。
15歳の皆さんは、時間を持っています。それは、自分の人生を大きく変えるだけの知識や経験を身に付けるための時間です。
自分の人生がどうなるかは、自分次第です。
将来自分がどういう大人になりたいのか、今からちゃんと考えてください。
そして、どうすれば理想の自分になることができるのか?具体的には何をすればいいのか?そのことを考えて、実行し始めてください。
大人になるまでの時間は決して長くはありません。時間はどれだけあっても足りないものです。
人は、幸せになるために生きている
ところで、人はどうして、時間をかけて、知識や経験を身に付けるのでしょうか?
そしてまた、どうして大人は皆、社会の中で責任ある役に就き、役割を果たそうとするのでしょうか?
それは、幸せになるためです。
つまるところ、人というのは幸せになるために生きています。
人の幸せには3つの種類があります。それは、
- 自分の幸せ
- 自分の大切な人の幸せ
- 他人の幸せ
この3つです。
第1に、人は自分の幸せのために生きています。
やりたいことをやる、食べたいモノを食べる、行きたいところへ行く、なりたいものになる。といった、欲望を満たす幸せです。
そして第2に、自分の大切な人の幸せのために生きています。
自分の大切な人というのは、自分の親や兄弟、友達、恋人、子供などです。この人たちの幸せが自分の幸せになるので、そのために努力をしたり、責任を果たしたりします。
そして第3に、自分とは関係のない、他人の幸せのために生きています。
ほとんどの仕事というのは、実は誰かを幸せにするための作業だったりします。
例えば会社で文房具を作っている人は、誰かがその文房具を使って幸せになるために作っています。コックさんは誰かが美味しい食事をするために料理を作っているし、作曲家は誰かがその曲を聞いて幸せになるために曲を作っています。
要するに、社会の中で何かの役に就き、責任を果たすことで、自分や自分の大切な人、自分とは関係の無い人に幸せをもたらしているわけです。
逆に言えば、どんな人でも、自分以外の人を幸せにすることができるんです。
素晴らしいことだと思いませんか?
ただし、人に幸せをもたらすことができるのは、その役が持つ責任を、果たす能力のある人だけです。
最後に
皆さんは来月から高校生です。
高校の3年間というのは、人生の方向性を決める、最も大切な時期です。
将来自分が社会の中でどんな役割を果たしてみたいか?
どういうカタチで世の中の役に立ち、自分を始めとする多くの人を幸せにしたいか?
それを考え、行動を始めなければなりません。大人になるまでの時間というのは、そのためにあるんです。
人生は、なりたい自分になるためにあります。
なりたい自分になって、自分と自分以外の人を幸せにするために、人間は生きています。
世の中の幸せのために、時間を無駄にせず、努力をし続けてください。
今日はありがとうございました。
ご卒業おめでとうございます。
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