職場で新しい人が来ることってありますよね。
新入社員とか異動して来た人とか。
そういう人にはなるべく早く、しかも効率よく仕事を覚えてもらいたいものです。
そこで、職場に来た新しい人に対して、普段私が言わないように気をつけている3つの言葉について紹介します。
わからなかったら聞いて
「わからなかったら聞いて」
この言葉を使って良いのは、業務を遂行する上で必要な最低限の情報を、新人さんにインプットした後。
充分な教育もせず、情報を与えないままの状態では言ってはいけない言葉です。
なぜか?
人が新しい仕事を始めた時というのはたいてい、
「右も左もわからないことだらけで、そもそも何がわからないのかがわかっていない」
そういう状態だからです。
仕事をする上で出てくる問題には、基本問題と応用問題があります。
基本問題を充分解けるように教育してから、「(応用問題が)わからなかったら聞いて」というのが、「わからなかったら聞いて」の正しい使い方です。
基本問題も解けるようになっていない新人に対する「わからなかったら聞いて」は、新人教育の義務を怠っていることになります。
考えればわかるでしょ?
「考えればわかるでしょ?」
わかりません。いくら考えてもわかりません。
例えばあなたが新人さんに、重たい荷物の移動をお願いしたとします。
もしあなたが同じことを頼まれたなら、まずは倉庫にある台車を持ってくることでしょう。
しかし新人さんは、一度では持ち切れない多くの重たい荷物を、何度も往復しながら一つずつ運びます。
なぜか?
その新人さんは、倉庫に台車があることも、そもそも倉庫があること自体も知らないからです。
人は「知らないこと」を予測することはできません。
だからそんな新人さんに
「台車使えばいいじゃん。考えればわかるじゃん」
と言ってはいけません。
「考えてわかる」のは、倉庫に台車があることを知っている人だけです。
この場合の「考えればわかるでしょ」には、その裏に以下のような心理が働いています。
「本来は私があなたにあらかじめ教えておいた方が良かったんだろうけど、あなただって「台車とかないですか?」って聞いてくれてもよかったんじゃない?考えればわかるじゃん?だから、あらかじめ教えてなかった私は悪くないよね?」
つまりは免責ですね。
さらにこの裏には以下のような心理も働いている場合もあります。
「おめーなんも考えてねーな。全部言われなきゃわかんねーのかよ。ちったぁ自分で考えろよ」
もちろん、本当に何も考えていないような人にはそれなりに指導をする必要がありますが、知らないことは予測できません。
ある程度は情報を与えてもらわきゃわかんねーわけです。
「考えればわかるでしょ?」も「わからなかったら聞いて」と同様、必要な知識を充分に伝えた後でなければ、使わない方がよい言葉です。
え?今さら?
人は、長くその部署にいるだけで、知識が勝手に増えるわけではありません。
その部署に5年いようが10年いようが、担当したことのない業務や聞いたことの無い情報は知らないわけです。
つまり、あなたにとっての常識が、他の人にとっても常識とは限らないのです。
「一緒に仕事をして来たんだから、そんなこと知ってて当然」
そう思う事があるかもしれません。
でも仕事って、きちんと教わる機会が無いと、ずっと曖昧なままになってしまうものなんですよね。
皆んな、必要最低限のことしかやりたくないので。
だから、例え配属1年経った新人さんに何かを質問されても、まずはその業務についてどこまで理解しているかを確認して、よく知らないようであればきちんと教える。
たったこれだけのことをすればいいんです。
わざわざ「え?知らないの?今さら?」と言って相手を不快にさせる必要はありません。
なぜ言わない方がいいのか?
「わからなかったら聞いて」
「考えればわかるでしょ?」
「え?いさら?」
これらの言葉を、なぜ言わない方がいいのか?
それには三つの理由があります。
効率が悪い
私の経験上での話ですが、技術職や接客業の場合は、時間を取ってきちんと新人を教育したり、作業手順をマニュアル化して、いつでも見られるようにしたりしてある場合が多いです。
モノづくりやお客さん相手の商売では、小さな失敗が大きな問題になる事があるからだと思います。
対して、営業系や企画系の職場では、ロクに教育していない新人をいきなり現場へと投入し、問題が起きたらその都度先輩が対処する、という場合が多い気がします。
営業や企画というのはどちらかと言えば体育会系で、「仕事は様々な問題を解決する俺の背中を見て覚えろ。みんなそうしてる」という人が多いです。
しかしそういうタイプの先輩の背中には、得てして何も書かれていないものw
そういう部署の新人は、様々な「本来は起こさなくても済む問題」を起こしながら、時間をかけて色々覚えることになります。
非常に効率が悪いです。
こうした「わからなかったら聞いて」や「考えればわかるじゃん」などという言葉を使う人が多い職場というのは、組織として人を育てる環境が整っていないことをも表しています。
組織運営は成り立ってないけど、ベテランの個人技で何とかなっている。そういう状態。心当たりありませんか?
ノウハウの共有もされていないので、誰かが倒れるとそこで業務が止まる。
非常に効率の悪い組織だと言えます。
気分が悪い
基本的な知識を誰も教えてくれない。
質問すれば教えてもらえるけど、先輩の気分によっては「考えればわかるじゃん」「え?今さら?」と言われる。
「わからなかったら聞いて」って言われたのに!
もう質問するのも面倒くさい。気分が悪い。
そう、気分が悪いんです。
二度手間、三度手間が発生し、起きなくてもよい問題が起こり、考えてもわからない「知らない情報」が後から出てくる。
「そういうもんだ」と思ってる人が多いうちは、その組織が改善されることはないですね。
あなたが嫌われる
嫌われます。
「わからなかったら聞いて」は、「わからないのは当たり前なんだから先に教えとけよ」と思われて嫌われます。
「考えたらわかるでしょ?」は、「考えてもわからないから聞いてんだよ」と思われて嫌われます。
「え?今さら?」は、「今まで知る機会が無かったんだからしょーがねーだろ」と思われて嫌われます。
ベテランになればなるほど、「わからない人の気持ち」が想像できなくなり、ついつい言ってしまう言葉が、あなたの印象を悪くするということを心に留めておきましょう。
最後に
いかがでしたか?
こういうこと、今まで考えたことありました?
もしあなたが職場ではベテランなら、仕事を効率よく、気持ちよくできるように組織を変えることができるはずです。
また、あなたの所属する組織がもし、なかなか人が育たなかったり、新人が毎日イライラして過ごすような組織であれば、それはあなたのようなベテランがそういう組織にしてしまった可能性があります。
普段何気なく使っている言葉が、自分や自分たちの仕事のやり方や組織のレベルを表すこともあります。
職場に新しく入った人に普段自分がどんな言葉を使っているか、一度見つめ直してみてはいかがでしょうか?
コメント